【東海道新幹線でのワゴン販売が終了/伊予鉄グループが完全週休3日制導入 など】鉄道業界 就活生が気になるプレスリリースまとめ【2023年8月】
鉄道就活応援隊のX(旧Twitter)では、鉄道業界各社のプレスリリースから就活生向けの話題をピックアップして、不定期にお届けしています。
プレスリリースを読むのは単なる情報収集だけではなく
・企業がどういった考えで施策を打っているのか
・自分の目指すことと、その企業の考えに重なるところがあるか
といったことを探るのにも有効です。
今回の記事では、そんなプレスリリースについてのツイートから2023年8月の1ヶ月間をピックアップ。140字の制限があるX(旧Twitter)では伝えきれなかった事象も加えながらお届けします。
なお、日付はプレスリリースの発表日ではなく、鉄道就活応援隊でツイートした日ベースですのでご注意ください。それではどうぞ!
8月1日 JR東海・ミズノほか 東海道新幹線車両のアルミを再利用した子供用野球バットを共同開発・10月から販売
【こんな人向け】環境問題に興味がある人
【解説】鉄道車両から発生した部品の再利用
JR東海グループでは、700系やN700系といった新幹線車両に使用されていたアルミを加工して再利用するマテリアルリサイクルを行っています。
様々な用途での再利用を実現するにあたって、様々な付着物を取り除き、高純度のアルミ合金のみを抽出する手法を新たに開発し、グッズや装飾にとどまらず、車両に用いられていたゆえの強度の高さを活かして駅の建築材料にも利用されています。
アルミの精錬には大量の電力を消費する必要がある一方、この「東海道新幹線再生アルミ」の製造では必要なエネルギーを抑えられるため、二酸化炭素排出量を97%削減できるとのことです。
そのほか、鉄道と環境問題のかかわりについては以下の記事でも解説していますよ!
8月2日 神戸新交通 2024年春より、全駅でタッチ決済の実証実験を開始することを発表
【こんな人向け】鉄道の新たな乗車サービスに関心がある人
【解説】タッチ決済導入事業者の拡大
国内におけるタッチ決済の普及、そしてインバウンドの回復を知識として持つ必要があります。
事前のチャージや暗証番号の入力(一定金額以内の場合)が不要なタッチ決済は海外で普及が進み、国内の交通機関でも徐々に導入が進められてきました。
また、JNTO(日本政府観光局)によると、訪日外客の数は新型コロナウイルス感染症の影響を脱しつつあり、回復傾向にあります。
コロナ禍でキャッシュレスがより広く浸透してきた状況においては、タッチ決済の導入は今後も様々な公共交通機関で進むと思われます。鉄道事業者で本格導入している例としては、南海電鉄や熊本市交通局、江ノ島電鉄などが挙げられます。
8月7日 JR東海 ワーキングスペース「EXPRESS WORK-Booth」をのぞみ停車駅で増設することを発表
【こんな人向け】働き方の変化に対する鉄道事業者の対応に関心がある人
【解説】鉄道事業者によるワークスペース提供サービスの拡大
「EXPRESS WORK」は、2021年12月1日にスタートした、東海道新幹線の利用者に便利なワークスペースを提供するサービスです。新幹線のオンライン予約サービスであるEXサービス会員向けに、当初は東京駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅の4駅にワークスペースが設置されました。現在は設置駅も増え、利便性が向上しています。
また、この「EXPRESS WORK」と、東海道新幹線に設定されたビジネスパーソン向けの車両である「S Work車両」を組み合わせて利用すれば、東海道新幹線での移動時間およびその前後を仕事にフル活用できることも可能になっています。
従来見られているテレワーク推進の動きに加え、コロナ禍による鉄道利用状況や働き方の変化などの影響もあり、鉄道事業者が駅やその周辺にワーキングスペースを整備する例は近年増えています。要チェックですよ!
【関連記事】EXPRESS WORKを含めた鉄道事業者によるワーキングスペースの整備について取りあげた記事
8月8日 JR東海 新たな車内サービスの展開を発表 車内ワゴン販売は終了へ
【こんな人向け】車内販売で働くこと・列車内のサービスに関心がある人
【解説】車内販売の縮小と変化
特急列車や新幹線での車内販売は長期的に縮小傾向が続いており、2019年3月までにはJR北海道・JR西日本(山陽新幹線の一部列車のみ継続)・JR四国・JR九州で観光列車を除いたすべての列車における車内販売の営業が終了しました。
このような状況でも、東海道新幹線の「のぞみ」「ひかり」ではJR東海グループのジェイアール東海パッセンジャーズが担当して車内ワゴン販売が続けられてきましたが、10月31日をもって終了し、車内販売についてはグリーン車の利用客を対象にした新たなサービスへ移行することになります。
なお、車内ワゴン販売をとりやめる理由としては将来的な要員不足への懸念や、駅構内やその周辺で気軽に飲食物が購入できる店舗が充実したことなどが挙げられており、これは他社が車内販売を取りやめる際に発表してきた理由とほぼ同じといえます。
一方、近年の観光列車では車内で沿線地域の飲食物やそのほかの特産品を販売する列車が多くあり、車内販売は新たな形で今後も残り続けていくと思われます。
8月21日 東急電鉄ほか クレジットカードのタッチ機能・QRコードを活用した乗車サービスの実証実験開始を発表
【こんな人向け】鉄道の新たな乗車サービスに関心がある人
【解説】タッチ決済導入事業者の拡大
鉄道就活応援隊において何度も紹介してきた、クレジットカードのタッチ決済およびQRコードを活用した乗車サービス。
利用方法としては、新たにオープンするWebサイト「Q SKIP」で1日乗車券を購入、タッチ機能に対応したクレジットカードを対象の改札機にタッチして乗車する形です。将来的には、対象線区や販売するチケットの内容の拡大、そして交通系ICカードで一般的な後払い方式への対応などを目指すとのことです。
就活性のみなさんとしては、導入の目的として
きっぷより柔軟に設定できる、自社グループや沿線の施設との連携商品の発売→新たな需要の創出
日本と比して欧米では広く普及している決済手段への対応→コロナ禍の影響から回復しつつあるインバウンド需要への対応
といった要素があることを押さえておきたいところです。
全国的に徐々に導入が進んでいるクレジットカードのタッチ決済やQRコードを利用した乗車サービス、今後も注目ですよ!
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
8月29日 伊予鉄グループ 完全週休3日制の導入を発表
【こんな人向け】ワークライフバランスや働き方改革に関心がある人
【解説】鉄道業界における働き方改革
株式会社伊予鉄グループは、愛媛県松山市を拠点に鉄道・バス・不動産・観光などの事業を展開する伊予鉄グループの中核企業であり、持株会社です。
伊予鉄道や伊予鉄バスといった公共交通の運転士などにおいても「休日を約8%増やすとともに、週休3日を選択可能とする新たなシフト勤務者枠を新設する」(プレスより引用)とのことで、働き方改革の好例として注目ですね。
8月30日 北陸新幹線金沢~敦賀間の開業日が発表
【こんな人向け】インフラ整備に関心がある人
【解説】鉄道・運輸機構による整備新幹線建設
今回、2024年3月16日の開業が発表されたのは、全国新幹線鉄道整備法に基づき1973年に整備計画が決定された北陸新幹線(東京都~大阪市間)の一部である金沢~敦賀間です。
同区間は2012年の着工(福井駅部は2005年着工)以来、トンネル工事の難航など多くの障害を乗り越えつつ、建設主体である鉄道・運輸機構(独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)をはじめとした多くの関係者の努力により工事が進められてきました。
1973年に整備計画が発表されたいわゆる整備新幹線については、北海道新幹線現在新函館北斗~札幌間も建設中であり、そちらも建設主体は鉄道・運輸機構となっています。
鉄道の新線建設にかかわりたい学生の方は、新幹線の建設主体はJRでないことをしっかり押さえておきましょう。
なお北陸新幹線の金沢~敦賀間の工事については、鉄道・運輸機構のWebサイトで工事の様子を映した動画などが見られますので、関心のある方はぜひチェックしてみてください。
終わりに・関連リンク
8月のプレスリリースまとめは以上になります。
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前回(7月)のプレスリリースまとめはこちら
地域・観光型「EeeE銚子」の電子チケット「Beica」や、箱根エリアでのタッチ決済導入などについて取りあげています。
8月の鉄道就活応援隊記事一覧はこちら
8月更新分の記事がこちらからチェックできます。今月は、軌道工事や電気工事の施工管理の方へのインタビュー記事もあります。
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