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【JR四国 ハイブリッド式車両導入など】就活生が気になる鉄道業界プレスリリースまとめ・2024年2月

気付けば3月、いよいよ大卒のエントリー解禁ですね。

鉄道就活応援隊のX(旧Twitter)では、鉄道業界各社のプレスリリースから就活生向けの話題をピックアップして、不定期にお届けしていますが、今回の記事では、2024年2月に鉄道業界の事業者から出されたプレスリリースをピックアップ。140字の制限があるX(旧Twitter)では伝えきれなかった事象も加えながらお届けします。

プレスリリースを読むのは単なる情報収集だけではなく

・企業がどういった考えで施策を打っているのか
・自分の目指すことと、その企業の考えに重なるところがあるか

といったことを探るのにも有効です。ぜひお役立てください!

なお、見出しの日付はプレスリリースの発表日ベースです
それではどうぞ!


2月8日 JR西日本 城端線・氷見線の鉄道事業再構築実施計画認定を発表

【こんな人向け】地方公共交通の維持に興味のある人
【解説】「自らの地域に対する『投資』として」の支援
城端線と氷見線は、いずれも富山県の高岡駅を起点とする鉄道路線で、現在はJR西日本が営業しています。
この両線について、今回認定された「鉄道事業再構築実施計画」では

  • 鉄道施設等の維持に要する経費は、富山県と沿線4市(高岡市、氷見市、砺波市、南砺市)、JR 西日本の負担により支援する

  • 5年後をめどに第3セクターであるあいの風とやま鉄道に運営を移管

  • 県と沿線4市があいの風とやま鉄道に出資を行うとともに、経営安定のために基金を新設して支援する。

  • あいの風とやま鉄道に事業主体が変更した後の運行を支援するため、JR 西日本は運転士や技術系の要員を確保にあたり、協力を行う。また、資金の拠出を行う

といった内容が取り決められています。
あいの風とやま鉄道は、もともと北陸新幹線の金沢延伸によりJRから分離されることになった北陸本線の一部区間を引き受けるために設立された第三セクターですが、計画によって新たに両線の運営を引き受けることとなります。

国土交通省の発表資料でも「6.鉄道事業再構築事業の効果」として、県と沿線4市、地元の自治体が「自らの地域に対する『投資』として」両線を支援していくことをあげています。
今回の事例では、JRからの支援もありつつ沿線の複数自治体が相当の覚悟で鉄道路線の維持を図ったといえ、全国的に課題となっている地方路線の維持において注目すべき事例の一つと言えそうです。

2月14日 JR四国 ハイブリッド式ローカル車両の導入を発表

【こんな人向け】鉄道と環境問題の関わりや、車両製造に関心のある人
【解説】鉄道におけるハイブリッド式車両の導入
JR四国では初となるハイブリッド式車両。プレスリリースでは、新型車両のメリットとして

  • 安全性・信頼性の更なる向上…シンプルな構造になることによるもの

  • 快適性の向上…静粛性の向上、乗り心地の向上

  • 環境負荷の低減…蓄電池の活用による燃費の向上

  • メンテナンス性の向上…電車と共通の部品を採用することによるもの

といった点をあげています。これらのポイントはハイブリッド式車両におおむね共通するものといえるので、注目を浴びやすい環境負荷の低減以外のポイントまで押さえられると、ほかの就活生に差をつけられることと思います。

【関連記事】すでに導入されているハイブリッド式車両の実例など

2月15日 JR東海 新しい荷物輸送サービス「東海道マッハ便」の開始を発表

【こんな人向け】物流、環境問題、地方創生に関心がある人
【解説】各社に広がりを見せる貨客混載輸送
新サービス「東海道マッハ便」は、「こだま号」11号車のスペースを利用して行う貨客混載輸送。
注目すべきポイントは、

  1. 想定されている品目

  2. 他社との連携が既に見通されていること

「想定されている品目」についてですが、プレスリリースでは「医療関係品、精密機器部品、生鮮食品など」があげられており、これは従来貨客混載輸送に適しているとされる「高単価で足がはやい」ものと言えます。
貨客混載輸送について押さえておきたいポイントです。

そして他社との連携が既に見通されていることもまた注目ポイントのひとつ。新幹線を利用した貨客混載輸送としては、JR東日本の「はこビュン」をはじめとしてJR北海道、JR西日本、JR九州などが既に導入済で、JR他社における貨客混載輸送の広がりが、JR東海が新たに貨客混載輸送を導入するにあたっての後押しになったとも考えられます。

貨客混載輸送は、物流業界の課題や環境問題、地方創生など複数の領域にかかわりがあり、GDや面接でも触れられる可能性のあるホットなテーマです。
詳しくは関連記事をご覧ください!

【関連記事】貨客混載輸送の意義や、既存事例について紹介

2月22日 JR九州 2024年3月16日より2つの「自動運転」開始を発表

【こんな人向け】鉄道における自動運転に関心のある人・運転士を目指している人
【解説】踏切もある一般路線における自動運転の本導入
従来、国内の鉄道における自動運転の導入例は、新交通システムや地下鉄のように「高架区間や地下区間が大半で、線路と周辺環境との分離が明確な路線」ばかりであり、一般的な路線、つまり踏切などによって自動車や人との分離が弱い路線での自動運転には安全性の確保が大きな課題としてありました。また、ATCと呼ばれる信号保安システムの導入も、費用面でネックとなっていました。

しかし、JR九州では従来の保安システムを改修したATS-DSを採用することでコストを安価に抑え、実証実験を繰り返して安全性を証明しつつ必要な行政手続きもクリアしたことで、「動力車操縦者運転免許」を持たない係員の運転による「GoA2.5レベルの自動運転」を営業列車で本導入するに至ったのです。

そのほか自動運転の定義や、押さえておきたい国内での事例などについては、関連記事もご覧ください!

【関連記事】

2月27日 大妻女子大学・JR東日本 データサイエンス分野の教育・研究、人材育成の向上を目指す協定を締結

【こんな人向け】データサイエンスの活用に興味のある人・専攻している人
【解説】鉄道とデータサイエンスの関わり
鉄道施設の維持管理ではCBMにおける活用、営業面では需要予測における活用など、鉄道においてデータサイエンス分野の需要は日増しに高まっているといえます。

事実、JRや大手私鉄をはじめとした多くの鉄道事業者の中期経営計画では必ずと言っていいほどデータの活用について触れられています。
データサイエンスについて興味のある方、専攻している方は、アピールのチャンスですよ!

2月28日 JR西日本 鳥取県・島根県では初となる「踏切ゲート-Lite」導入を発表

【こんな人向け】安全対策に関心のある人
【解説】踏切における安全確保と経済性の両立
日本の鉄道路線には、地方部を中心として遮断機や警報機がなくリスクが高いとされる「第4種踏切」と呼ばれるタイプの踏切が一定数残存しています。遮断機や警報機をすべての踏切に導入すれば安全性は向上しますが、それには多くの費用と時間がかかります。

そこで、JR西日本はその「第4種踏切」における安全対策として、警報機や遮断機に比べて簡単に設置でき、一定程度の安全性を確保できる「踏切ゲート」の整備を2021年度より進めてきました。

さらにJR西日本は「踏切ゲート」と同等の一旦停止効果が期待でき、かつ施工性を向上させた「踏切ゲート-Lite」を開発し、岡山エリアから導入を開始しています。経済性と施工性に優れた安全対策として注目です。

【関連記事】

終わりに・関連リンク

2月のプレスリリースまとめは以上になります。
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前回(1月)のプレスリリースまとめはこちら

JR北海道が実施するきっぷのネット販売におけるダイナミックプライシングの部分導入や、東京メトロが打ち出す鉄道の様々な分野における5G活用に向けた実証実験などについて取りあげています。

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