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【編集部のやり方公開】就活生にも役立つ! 会社調べのヒント

突然ですが、みなさんはどのように企業のことを調べていますか? ナビサイトで見たり、先輩や先生に聞いたり、様々な方法を取っていることかと思います。

鉄道就活応援隊の編集部でも、企業紹介や企業分析の記事、取材記事の準備にあたっては、鉄道業界を中心に数多くの企業について日々調べています。

鉄道業界の企業の場合は既に当社(交通新聞社)と何らかの形で関わりのある企業であることも多いですが、不足している情報がある場合や新しい情報を探す場合、そしてそもそも関わりがない企業の場合は、みなさんと同じように情報収集することになります。

実際に訪問したりメールで問い合わせをする場合もありますが、まずはインターネットで情報を集めるのがほとんどです。

今回の記事では、「企業の強み」「事業領域」「売上高」「今後の見通し」などについてどのように調べればいいか、事業領域別会社紹介シリーズ企業分析シリーズなどで解説する記事を公開している鉄道就活応援隊の編集部のやり方を交えて解説します。


ナビサイトで分かる基本的な情報

事業領域はどのようなものか、業務としてはどのようなものが想定されているのか、事業所はどこにあるのか、そして給料や休日といった待遇面はどうなっているのか……自分が入社するかもしれない企業について、知りたいことは尽きないはずです。

そんなみなさんがまず見るのは、ナビサイトに掲載されている情報かと思います。ナビサイトを含めた求人情報には最低限載せるべき項目が法令で定められているほか、それとは別にナビサイト側が求人情報を載せる企業側に対して独自に掲載を要請している項目もあります。

ナビサイトで得られる情報は、

  • 会社概要

  • 社内制度

  • 採用実績

  • 募集概要(待遇など)

といった情報です。
みなさんも実感として分かることとは思いますが、実際のところかなりの情報はナビサイトで手に入りますし、もちろん鉄道就活応援隊の編集部でもナビサイトは見ています。
しかし、そんなナビサイトでも企業の強みや事業領域の細かな内容については分かりづらかったり、情報が不足することもあります。

ここからは、鉄道就活応援隊の編集部の調べ方を例としてお伝えします。みなさんが企業を調べるにあたってヒントになれば幸いです。

まず見るもの:企業の公式Webサイト

鉄道就活応援隊の編集部がまず見ているのは企業の公式Webサイトです。
以下、企業の公式Webサイト内の各コンテンツごとに解説します。また、かかる手間を「大変度」として★で表記しました。最大で★5つです。

「どのような会社か」会社概要 大変度★☆☆☆☆

代表者名(役員一覧などのページに掲載されることも)や従業員数、事業所の所在地、主な事業などが分かります。詳しい内容はそれぞれ個別のページがある場合が多く、情報量はナビサイト掲載の情報とそう変わりません。どのような企業なのかをざっと把握するために見る、といった形です。

「どのような事業があるか」事業説明 大変度★★☆☆☆

どんな事業を営んでいるかは、基本であり重要です。
鉄道会社であれば鉄道事業以外にどのような事業があって、どのような関わりがあるのか、しっかり確認します。

幅広い事業領域を持つ会社が多いのも鉄道業界の特徴です。

それ以外でも鉄道に関わりの深い土木系の企業では「保線」「土木」「建築」の3部門で構成される企業が多く、また機械系や電気系などの企業においても複数の事業を抱えた企業が多いのが実情です。

なお、メーカーであれば事業説明とは別に製品説明のページがある場合も多いです。鉄道就活応援隊の編集部では、その企業の製品にはどのような特徴があるのか、他社と差別化されたポイントは何があるのか、といった点について確認しています。その会社の強みを知るためです。

たとえば、JR東日本グループの鉄道車両メーカー、総合車両製作所のWebサイトにある製品紹介のページでは、製造してきた車両やコンテナ、車載部品の一覧が見られるほか、同社の特徴である「sustina」ブランドの紹介ページがあります。

「どのような仕事があるか」採用ページの社員紹介 大変度★★☆☆☆

事業や製品について把握したところで、次に見るているのは「どのような仕事があるか」です。
これには採用ページにある社員紹介のページを見るのが効果的です。掲載していない企業も多いですが、掲載されている場合は必ず以下の点について確認しています。

  • 細かい業務内容や1日のスケジュール
    事業説明では分からない、仕事の具体的な内容が分かります。

  • 社員の経歴
    どのようなキャリアパスかが分かります。

  • 社員個人としての目標や思い、それに対して制度的な支援があるのか
    個人の目標や資格取得、成長を応援してくれる社内風土、制度があるのかといった点が分かります。

なお就活生のみなさんには、採用ページ内に座談会のページや動画があれば目を通すことを強くお勧めします。
年次や部署が異なる様々な社員のキャリアパスが分かったり、出産や育児、介護などを支援する社内制度が実際にはどのように使われているかが分かったり、企業の事業などとはまた違った意味合いで有用な情報が含まれていることが多いです。

「事業説明のチェック」「採用ページのチェック」ここまでできれば、第一段階はクリア。基本的な情報は分かっている状態です。
しかし、ESを書くときや面接の想定をするときなどには、更にしっかりと企業のことを理解できると、他の就活生に差がつけられるはず。
ここからは、そんな「深掘り」を取りあげます。

「数字で深掘り」IR資料 大変度★★★★★

IR資料とは、企業が業績、企業活動、財務状況や今後の見通しなどについて投資家向けに説明する資料です。鉄道就活応援隊で何社か取りあげてきた決算短信や、その補足資料などがこれにあたります。

決算短信は数字や定型的な内容の説明文が中心ですが、決算短信説明会資料の方は図表が多く用いられており、直感的に分かりやすいようになっています。そのため、初めて見る方には補足資料の方がおすすめです。

企業に出資している人やこれから出資しようか考えている人に向けて公開されている資料であるため、内容が分かりやすく、また偽りを書くことが法的に許されない決算の数字を根拠としているので、信頼性も高いのが特徴です。

決算短信やその補足資料には、売上高や営業利益、経常利益といった業績についての基本的な数字から、総資産、純資産、自己資本比率といった資産状況、経営成績の概況、セグメントごとの売上高・利益、次期の見通しや今後の計画に至るまで、経営に関わる様々な情報が記載されています。

この中でまず見ているのは、売上高や営業利益、経常利益の数年間の推移です。
同業他社との比較や、売上高に対する各利益がどの程度出ているかなどがポイントになります。
注意点としては、鉄道業界はコロナ禍の影響が大きかったため、売上高などの数字を見る際には前年比だけでなく、コロナ禍前の数字と比較する必要があることです。

正直なところ、鉄道就活応援隊の編集部である私たちでも一つ一つの企業についてIR資料を読み込んでいくのは結構な手間と時間が必要です。また、読み込むにあたっては、財務資料に関する最低限の知識が要ります。

そこで、鉄道就活応援隊では決算短信や決算短信説明会資料から読み取った企業の特徴や事業構造、強みなどについて分析した記事をまとめていますので、ご活用ください。
たとえばセグメントごとの売上高については以下のようにグラフを使って分かりやすく解説しています。

近畿圏での「鉄道×●●」に強み【就活生向け・決算短信を読む⑦JR西日本】より

鉄道業界企業分析シリーズの記事は、以下のリンクからご覧ください。

「これから」を見る:中期経営計画・長期経営計画 大変度★★★★☆

企業の将来的な展望や戦略を把握したいときには、中期経営計画・長期経営計画を見ます。

中期経営計画や長期経営計画は、企業がその企業の理念や存在意義を実現するために立てる、数年規模の計画です。

以下の図はJR西日本グループのものですが、上の方にある理念を実現するために下の方に計画が立てられ、年度ごとの事業計画に落とし込まれ、図にはないものの最終的には日々の業務に落とし込まれる、という構図になっているのが良く分かることと思います。

「JR西日本グループ長期ビジョン2032・中期経営計画2025」より引用

さて、私たち鉄道就活応援隊の編集部がここで主にチェックしているのは、その企業が認識している課題と、それに対する打ち手です。

鉄道業界共通の課題としては、沿線人口の減少やコロナ禍でのライフスタイルの変化による鉄道利用者の長期的な減少、生産者人口の減少による人材不足激甚化する災害への対応などがよく挙げられています。

これらの課題を解決するための打ち手としては、たとえば鉄道利用者の長期的な減少については、商業施設の開発による沿線価値の向上、鉄道サービスの向上などの打ち手が語られることが多いほか、人材不足に対しては、有人窓口を高機能の券売機に置き換えることによる省人化、機械化による鉄道メンテナンスの省人化、自動運転の導入による省人化、などがよく挙げられます。

これらの打ち手を見ることは、就活生のみなさんにとっては「その企業のことを知る」といったことに加え、グループディスカッションなどでよくある「課題に対する打ち手を考える」練習にもなることと思います。

「最近のニュースを調べる」交通新聞 電子版

交通観光業界、こと鉄道業界のニュースを探すことに関しては弊社の発行する平日毎日発行の業界紙、交通新聞がとても便利です。電子版では検索機能が使えるので、鉄道就活応援隊の編集部では日々ニュースをチェックしている他、社名などのキーワードで検索をして情報収集をしています。

ただ、ログイン不要で見られるのは記事の見出しとさわりの部分だけ。詳細検索や全文の閲覧には年間購読の契約が必要です。
学生のみなさんからすると年間購読の契約は少しハードルが高いかもしれませんが、どんなトピックがあったのかをさらっと見たい時にはとても役に立ちます。

また、鉄道就活応援隊の一部の記事では、交通新聞 電子版において特定の社名やキーワードで検索したときの結果に出てくる記事について、特別に記事全文が無料で読めるリンクが掲載されています。

たとえば、以下の記事ではJR東日本について検索したときの検索結果および本来は有料の記事全文が、無料かつ登録不要で読めます(記事の後半にある『関連リンク』の項に検索結果へのリンクがあります)。

そのほか、鉄道業界のプレスリリースについては鉄道就活応援隊の「鉄道業界ひとくち解説」の中にある「プレスリリースまとめ」でも取りあげていますので、そちらもご活用ください。

もちろん、経済新聞など、他社の電子版の新聞を契約している場合は、そこで調べるのも有効です。

まとめ

ここまで、鉄道就活応援隊がインターネットで企業について情報収集をする際に見ているポイントを解説しました。理想はすべての企業に対してなるべく多くの情報を集めることですが、そうは言っても限られた時間のうちでこなすのは大変難しいと思います。

そこで限られた時間の中での工夫として、

ざっと調べたい時:「浅く広く」情報が載っているナビサイトで見る

エントリーするかの判断や説明会前の準備で企業のことを個別に知りたい時:企業の公式Webサイトにある事業説明と採用ページも見る

ESを書く時や面接の前、しっかりと知識を付け、整理したい時:IR資料や中期経営計画・長期経営計画も見て、ニュースも調べる

というように、優先順位、メリハリをつけて調べるのがおすすめです。
また、これ以外にも情報を集める手段としては最初に挙げたような「先生や先輩など、周りの人に聞く」「OB訪問・OG訪問をする」「鉄道事業者なら実際に乗りに行く」といった様々な方法があります。

闇雲にすべてを試すのではなく、時間やその企業に対する志望度に合わせて、自分にあった調べ方を身に着けられるといいでしょう。

なおOB訪問・OG訪問のやり方、気を付けたいマナーや質問のポイントについては以下の記事で解説していますのでぜひご覧ください!

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鉄道就活応援隊のnoteでは、「はじめて」が多い就活において不安になりがちなマナーや、よりあなたに合う企業を見つけるコツなどについてまとめています。以下のリンクからご覧ください。

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