【千歳線新駅構想/ハッピーターン採用の開始 など】鉄道業界 就活生が気になるプレスリリースまとめ【2023年9月】
鉄道就活応援隊のX(旧Twitter)では、鉄道業界各社のプレスリリースから就活生向けの話題をピックアップして、不定期にお届けしています。
プレスリリースを読むのは単なる情報収集だけではなく
・企業がどういった考えで施策を打っているのか
・自分の目指すことと、その企業の考えに重なるところがあるか
といったことを探るのにも有効です。
今回の記事では、そんなプレスリリースについてのツイートから2023年9月の1ヶ月間をピックアップ。140字の制限があるX(旧Twitter)では伝えきれなかった事象も加えながらお届けします。
なお、日付はプレスリリースの発表日ではなく、鉄道就活応援隊でツイートした日ベースですのでご注意ください。それではどうぞ!
9月5日 国土交通省 鉄軌道輸送の安全に関わる情報(令和4年度)を公表
【こんな人向け】鉄道の安全確保に興味がある人
【解説】ホームドアの設置などの安全向上施策
国土交通省が毎年公表する「鉄軌道輸送の安全に関わる情報」は、法律に基づき鉄軌道輸送の安全に関わる情報を国として公表するものです。
全国の鉄軌道事業者における事故やインシデント(運転事故が発生するおそれがあると認められる事態)の発生件数、自動列車停止装置や踏切保安装置などの安全装置の設置状況などを公表しています。
就活生のみなさんとしては個別の数字を覚える必要はありませんので、
事故の数は長期的に減少傾向、ただしコロナ禍で乗客が減少していた反動で乗客が増えていることもあり、対前年度で悪化した数値もある。
「ホームでの接触」も同様に長期的に減少傾向。これは。ホームドアの設置などが効果的に表れているものと思われる
といったポイントを押さえておきましょう。
9月14日 JR北海道 北海道ボールパークFビレッジ隣接地に設置する千歳線新駅計画について発表
【こんな人向け】将来鉄道事業者の立場で新駅設置にかかわりたい人
【解説】新駅設置の課題
北海道ボールパークFビレッジは北海道北広島市に位置し、2023年3月に開業した新球場であるエスコンフィールド北海道を中心に、さまざまな施設が存在します。現在の最寄り駅はJR北海道 千歳線の北広島駅であり、エスコンフィールド北海道の観客輸送に備え、駅施設の改修やダイヤの見直しが行われました。
今回の新駅構想は、その北広島駅よりさらに近い位置に駅を設置し、利便性を向上させようというものです。構想自体は以前より検討が進められてきましたが、建設資材の高騰などもあり、費用の圧縮などをポイントとして今回の新案に至りました。
当初の計画と比較すると予想される工事費や工期が圧縮されており、北広島市が計画に同意することで、実現に向けて大きく進展することが期待されます。
新駅を設置するにあたっては、費用負担や工期の圧縮が共通して課題となりやすく、同様の事例の参考ともなりそうです。
9月15日 阪神電鉄 グループでの阪神タイガース優勝記念企画・セールについて発表
【こんな人向け】阪急阪神ホールディングスへの就職に関心のある人
【解説】阪急阪神ホールディングスグループの幅広い事業領域
ここで注目したいのは、阪神タイガースが優勝したということではなく、阪急阪神ホールディングス所属企業の業種の幅広さです。
優勝記念企画・セールについてのプレスリリースには、阪神電車に加えて阪神バス、阪神百貨店といった「阪神」の名を冠した企業はもちろん、阪急阪神ホールディングスグループとして関係のある阪急三番街、大阪新阪急ホテルなども名を連ねています。
阪急阪神ホールディングスへの就職を志望している方は、グループの構成へ目を向ける良い機会となるかもしれません。
阪急阪神ホールディングスについては、企業分析シリーズでも取りあげているのでぜひご覧ください。
余談ですが、現在も球団を所有する阪神を除いた関西の大手私鉄4社のうち、京阪以外の3社(近鉄、阪急、南海)はいずれもプロ野球球団を所有していた過去があります。プロ野球と鉄道の関係は深いのです。
9月26日 西武鉄道 東急電鉄・小田急電鉄からの車両授受を発表
【こんな人向け】鉄道車両の環境性能に関心のある人
【解説】現実路線としての車両調達
西武鉄道は「2030年度までに保有するすべての鉄道車両を『VVVF制御』という消費電力の少ない制御方式を採用した車両にする」という目標を掲げています。
この目標を達成するためには旧式の「抵抗制御」を採用している車両の制御装置を置き換えるか、車両を新造して置き換えることになります。しかし、すべてを制御装置の置き換えや車両の新造で対応するとなると、多大な費用が必要となってしまいます。
そのため、コストを抑えつつ目標を達成する手段として、「VVVF制御」を採用している車両を他社から受け入れることで対応する、という方針が2022年3月決算の補足説明資料であげられていたところでした。
今回発表された東急9000系や小田急8000形の導入によりどこまで消費電力が削減されるかといった詳細は現時点で分かりませんが、車両の新造にこだわらない環境対策として今後同様の取り組みが他社に広がるかは注目されるところです。
なお、鉄道と環境のかかわりについて詳しくはこちらをご覧ください。今回話題となった「VVVF制御」でも採用した半導体装置によって消費電力に差があることなどについて取りあげています。
9月29日 JR九州 退職者雇用制度「ハッピーターン採用」の開始を発表
【こんな人向け】鉄道事業者への就職を考えている人
【解説】人材確保のための積極施策
新卒採用で鉄道業界に入ろうとしている自分には関係がない、と思う方も多いでしょう。しかし、1月にJR東日本が「ウェルカムバック採用」、7月にはJR西日本が「カムバック採用」として、かつて自社を退職した人の採用に乗り出していることも考えると、こうした動きが業界内で続いているのは注目に値します。
JR九州が10月に開始する「ハッピーターン採用」もこれに続くもので、鉄道業界の外で一般的になりつつあった、「一度退職した人材の雇用」が鉄道業界でも広がりつつあるということを示しています。
近年相次ぐ初任給の賃上げとあわせ、人材確保のための積極策というとらえ方をしておくべきであろうと思われます。
終わりに・関連リンク
9月のプレスリリースまとめは以上になります。
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前回(8月)のプレスリリースまとめはこちら
東海道新幹線での車内ワゴン販売の終了や、伊予鉄グループの完全終了3日制導入、北陸新幹線敦賀開業日の発表などについて取りあげています。
9月の鉄道就活応援隊記事一覧はこちら
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