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「お客さまから『いってきます』と言われることも」地域の“顔”である駅を守る使命感・責任感【社員インタビュー:JR東海交通事業・駅係員】

こんにちは、鉄道就活応援隊編集部です。

鉄道に関わるお仕事に携わっている方へインタビューを通じて、その仕事についてのお話を伺う「鉄道ゲンバ最前線!」。

第4回となる今回は、JR東海エリアの在来線駅の運営や同社のテレフォンセンターのスタッフとして案内業務などを担う株式会社JR東海交通事業*(愛知県名古屋市)へお邪魔して、東海道線木曽川駅で駅業務に携わる飼沼さんへインタビューしました。ゲンバを取材すると、JR東海グループの一員として暮らしを支え、地域の“顔”である駅を守る使命感・責任感が垣間見えました。

*東海交通事業は2024年10月1日に社名がJR東海交通事業に変更されました。

それではどうぞ!


自己紹介と入社のきっかけ

――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、自己紹介と入社のきっかけをお願いいたします

本社の会議室でインタビューに応じてくれた飼沼さん。

飼沼 よろしくお願いいたします。東海交通事業(取材当時・以下同じ) 岐阜事業所 職場リーダーの飼沼歩(かいぬまあゆむ)と申します。
名古屋市内の高校を卒業後、2006年入社の17年目、35歳です。東海道線稲沢駅、枇杷島駅、共和駅、関西線四日市駅、お客さまからお電話でのお問い合わせに対応するテレフォンセンターを経て今の木曽川駅に勤務しています。

正直、この会社を選んだ時は高校生だったのでこれといった志望動機はなかったのですが、やはり鉄道を支える仕事という安定性に惹かれ、就職しました。

駅業務とは

――現在の木曽川駅でのお仕事について教えて下さい

飼沼 木曽川駅の業務は24時間勤務のため、朝8時40分に前任者と交代して1日の勤務がスタートします。
交代後は、お昼まで窓口できっぷを売ったり、改札に立ったりしています。昼食を取った後は、窓口で発売したきっぷや券売機の集計などを行い、再び最終列車まできっぷを発売したり、改札で乗り越し精算の対応をします。私どもの会社が担当する駅は、基本的に1人ないし、2人の勤務体制で駅を守っています。この木曽川駅は基本1人で業務にあたります。

1人で勤務する場合の勤務スケジュール例です。駅によって係員の人数や窓口の開設時間には違いがあります。

――泊まりがけで駅を1人で切り盛りしているのですね

飼沼 入社当初は、朝から次の日まで泊まって仕事をするというのは想像していませんでしたし、「18歳が一人で駅を守るの!?」という戸惑いがあったのも事実です。
当時、お客さまに「責任者を出してほしい」と言われ、18歳の自分が出ていくこともありました。「責任者は私です」というのは緊張しましたが、今ではすっかり慣れ、「1人で駅を守る」という責任感を強くしています。

駅業務に必須の道具たち。赤旗はホーム巡回時に列車を停める際に使用します。笛は、お客さまの安全を確保する際、危険を知らせるための道具です。業務用スマホはホーム巡回時、列車を停める事象発生した場合に関係箇所へ速報する(緊急通報)ためのものです。(提供:東海交通事業)

――1人で勤務される前、先輩たちから教わったことで印象に残っていることは

飼沼 印鑑を押す際に印が反対を向いており、「上を向くように押すように」と厳しい口調で指導を受けたことを今でも思い出します。また、私が入社したころは国鉄やJR東海出身の方が多く職場にいらっしゃいました。

指導は厳しく、当時は「正直うるさいな、そんなことまで注意するのか」と思っていましたが、年数を重ねるごとに、「基本に忠実に行う」という諸先輩方の指導の意味がようやくわかり、意味のある指導だったんだとかみしめています。

――実際に業務にあたる中で心掛けていること、また、「やりがい」を教えて下さい

飼沼 木曽川駅は小さな駅ですが、小さな駅だからこそ通勤・通学で毎日使われる方の顔を覚えることができます。そんな皆さんに対し、さわやかな笑顔で「おはようございます」「いってらっしゃいませ」といった声がけを心がけています。こちらからお声がけするうちに、お客さまも私のことを覚えてくださり、「おはようございます」「いってきます」などと声をかけてくださります。

日に日に声をかけてくれる方が増えていくのもやりがいにつながっています。こうした人とのふれあいは駅業務ならではだと思っています。

――1人勤務だと列車のダイヤが乱れた際の対応も大変ですね。

飼沼 列車が遅れている旨を伝える案内放送も行いつつ、きっぷをお求めに来られるお客さまもいらっしゃるので、片方だけに集中しないよう視野を広く持たなければなりません。

列車運行に関する情報がJR東海の指令室から送られてくるのですが、場合によっては「踏切の安全確認をしています」といった初期情報だけでご案内することもあります。
どのようなことが起きているのか、どれくらいで復旧する見込みか、といった情報が分かれば、お伝えできますが、必ずしもそのような状況とも限らないので、その場合の対応は難しさを感じることもあります。

また、ひとたび異常が発生すると食事を食べられないこともあり、少々辛い時もありますが、異常時を乗り切った際に一人だからこそ得られる達成感は何にも代えがたいですね。

テレフォンセンターの業務とは

――木曽川駅の前はJR東海のテレフォンセンターで勤務されていたということですが、そこではどのようなことをされていたのでしょう

飼沼 列車の時刻、新幹線や特急列車の空席案内、車いすを利用されるお客さまの申し込みなどのお電話での問い合わせ対応をメインに行っていました。駅とは違い、お客さまの顔が見えないので、お客さまの気持ちを想像しながら声の大きさ、抑揚などに強弱をつけて対応しなければならず、その点は独特の難しさがありました。

また、駅で勤務していると新幹線のきっぷなどを発売する「マルス」という機械で時刻が調べられるため、それが使えるときは活用していましたが、テレフォンセンターはそのマルスが一人一台あるわけではなかったので、問い合わせの列車の時刻を調べるのに時刻表が手放せませんでした。列車の時刻以外にもお得なきっぷ、東京、大阪に関することなど幅広い問い合わせがあり、いろいろ勉強させてもらいました。

テレフォンセンターで勤務したからこその言葉遣い、サービス力が磨かれたとも感じています。

これが「マルス」の端末です。業務で使うものということで画面をそのままはお見せできないのですが、さまざまな機能が詰まっています。きっぷの発売やお客さまからの問い合わせに対し、時刻や運賃を調べたり、指定席きっぷの発売や、払い戻し対応等もマルス端末を使用します。(提供:東海交通事業)

――東海交通事業で働いていてよかったと感じることを教えてください

飼沼 時間を有意義に使える点です。24時間の勤務を終えた後、非番、休みというスケジュールになっており、この並びがすごく好きなんです。
週5日働いて土曜日、日曜日休むというより、1回勤務して1日半休みというのが少し得した気分になります。平日休みも多いので普段混んでいる場所でも平日の空いている時に行けるのもうれしいです。

――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えて下さい

飼沼 結婚する前は、勤務後に朝から同期と飲んだりすることもありました(笑)。今は小学校3年生と1年生の子どもがおり、子どもと遊ぶ時間を楽しみにしています。
また、そんなに頻度は高くありませんが、職場の人とソフトボールをしたり、どこかに出掛けたりすることもあります。先日は静岡県浜松市に出掛け、親睦を深めました。

――最後に、「東海交通事業で働いてみたい」と考えている学生の方へメッセージをお願いします!

飼沼 私は人と接する事が好きで、たくさんの人とコミュニケーションをとる事ができるこの仕事を選びました。

駅業務で大変だと思う事は、1人で勤務をする時間が多いため、通勤ラッシュ時の運転見合わせや、業務が輻輳したときの対応です。
また、きっぷのルールや営業制度など覚える事がとても多く、苦労しました。
今でも業務をしていると、わからない事象に遭遇することがあり、マインドの醸成と知識・技能の研鑽が必要です。

大変なこともありますが、東海交通事業が受託している駅は中小規模の駅が多いため、同じ駅で長く働いていると、毎日の挨拶やきっぷの発売をきっかけに、お声掛けしていただけるお客さまが増え、アットホームな環境で働ける事にあたたかさとやりがいを感じる事ができます。

また、東海交通事業は、職場によって雰囲気や職種が全く異なりますが、それぞれの職場で学んだ事を次の職場でも活かすことができ、自分を成長させる事ができます。

ぜひ、応募してみてください!

――本日はお忙しいところ、ありがとうございました!

最後は本社の前で。制服姿に安心感と誇りを感じます。

終わりに

インタビューを通じて感じたのは、普段何気なく使っている駅には、そこで働く人のさまざまな“想い”があるということです。地域の顔である駅を守っている姿が印象的でした。
また、1人勤務をしながらもレクリエーションなどを行うことで社員間のコミュニケーションの活発化を図っているのも、シフトが違うとなかなか顔を合わせる機会の少ない業務ならではだと感じました。
皆さんも普段使っている駅で働く人の姿に注目してみてください。新たな発見があるかもしれません。

なお、同じく東海交通事業からは「機動係員」というカッコイイ名前のお仕事で駅の利便性・安全を守る方へ取材した記事

JR東海テレフォンセンターで鉄道利用者からの問い合わせに誠実に答える篠田さんへ取材した記事を掲載していますので、あわせてご覧ください!

東海交通事業について知りたい方は、下記リンクから情報を確認していただければと思います。

公式ウェブサイト

採用サイト

業務紹介や社員紹介、人事の方からのメッセージなど豊富な内容が掲載されています。

今回紹介させていただいた会社

株式会社JR東海交通事業
東海エリアの各県でJR東海からの駅業務を受託しているのをはじめ、JR東海テレフォンセンターのスタッフとして案内業務、東海道線の枇杷島と中央線の勝川を結ぶ城北線の旅客鉄道業務、城北線高架下用地の貸付、駅レンタカーの営業などを行い、私たちの日々の暮らしを支えています。
今回は名古屋市の本社にお邪魔し、取材させていただきました。

より詳しく知りたい方は

>>直近1年間の交通新聞電子版における「東海交通事業」検索結果
から記事をご覧ください! この交通新聞電子版のリンクからは、本来は有料となっている記事も無料で閲覧可能です。ぜひご活用ください。

2022年12月取材
撮影:木田慎一(交通新聞クリエイト)
聞き取り・企画・構成:交通新聞社
※記事中の情報は、この記事を公開した当時のものです。
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