【就活生向け】「お客さまの声色が明るく変わった瞬間の嬉しさがやりがいです」真摯に耳を傾け、親身に対応するプロ意識【社員インタビュー:JR東海交通事業・テレフォンセンターオペレーター】
鉄道に関わるお仕事に携わっている方へインタビューを通じて、その仕事についてのお話を伺う「鉄道ゲンバ最前線!」。
第6回となる今回は、JR東海のテレフォンセンターへお邪魔して、そこでスタッフとして案内業務などを担う株式会社東海交通事業*の篠田さんへインタビューしました。ゲンバを取材すると、JR東海グループの一員としてお客さまの声に耳を傾け、困りごとや疑問に真摯に対応する真心を感じました。
それではどうぞ!
自己紹介と入社のきっかけ
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、自己紹介と入社のきっかけをお願いいたします
篠田 よろしくお願いいたします。東海交通事業(取材当時・以下同じ) JR東海テレフォンセンターに勤務する、篠田真由(しのだまゆ)です。2019年4月入社です。
入社後は駅に配属され、駅業務を担当していました。現在はJR東海テレフォンセンターで、お忘れ物の捜索や列車ご利用に関する各種お問い合わせ、ご案内をしております。
学生時代、長距離鉄道を利用して通学をしていたのですが、その際に駅員さんにとても丁寧に対応していただいた経験がありました。
ほかにも、友人がICタイプの定期券を使っているのを見て、「私の磁気券タイプの定期券も切り替えられるのかな」と実はこのJR東海テレフォンセンターに電話したことがありました(笑)
その時の対応も素敵でしたし、車掌さんが雨の日に「傘をお忘れになりませんように」と一言加えるのを聞いたこともあり、マニュアルだけではない、お客さまに親身なお仕事をされている鉄道業界の方々に感銘を受け、入社試験を受けました。
テレフォンセンターの業務とは
――そうだったのですね。こちらの施設について教えていただけますか。
篠田 JR東海のホームページ等でご案内している「JR東海テレフォンセンター」にお電話いただくと、こちらにつながります。こちらでは各職員がJR東海の列車のご利用案内やお忘れ物等、お客さまの様々なお問い合わせに対応しています。
――どのようなお問い合わせが多いのでしょうか。
篠田 テレフォンセンター内はお忘れ物に対応する部門とその他のお問い合わせに対応する部門に分かれており、お忘れ物ですと携帯電話やイヤホンなどを多くお問い合わせいただきます。
中にはお誕生日ケーキといったお忘れ物もありますね(笑)
その他のお問い合わせでは、新幹線の運行状況や空席状況、各種きっぷのお取り扱いや列車のご利用方法など、様々なお問い合わせをいただきます。
――多岐にわたるお問い合わせ内容ですが、スムーズに対応されるのは難しくはないですか
篠田 よくあるお問い合わせについてはお客さまにつながる電話がある各卓に、フローチャートマニュアルがあり、こちらを活用しながらご対応をしていきます。
だんだん経験を積んでいくと、フローチャートの“合間”のコミュニケーションに「こういう言い回しをしたほうがお分かりいただきやすい」と言った対応ができるようになってきます。
――電話でのやり取りは大変ではないですか?
篠田 たしかに対面でのご対応ではなく、お客さまからのお申し出で現状把握と対応を行わないといけないのが少し難しいですね。
例えばお客さまにとっては同じ「きっぷ」でも、それがJR東海の窓口で購入されたきっぷなのか、旅行商品なのかで各種お手続きの対応が変わってくるので、まずはお客さまの現状をきちんと把握することから始めています。
一方でお客さまとしては、少しでも早く対応(答え)をお求めになられるので、どうしても焦っていらっしゃることも多いです。そんな中でもスムーズかつ確実な対応を実現するためにもまず、お客さまの状況を丁寧に伺うようにしています。
また、言葉の選択にも気を配っています。例えば、「きっぷの内容を伺ってよろしいでしょうか」とお尋ねするのではなく、「ご案内を差し上げたいので、何点か教えていただけますか」という風にお尋ねします。
ほんの少しの工夫ではあるのですが、このようにお伝えすると私が「なぜこんな質問をするのか」という理由を、お客さまもご理解いただけることが多く、スムーズな解決にご協力いただけることが多くなります。
特に焦ってしまう、お財布の紛失などについても、このようにお尋ねさせていただくとお客さま自身も、少し落ち着いていただけ、捜索により重要な情報を正確にお伝えいただけることが多くあります。
――様々なお問い合わせがあると思いますが特に印象に残っていることは?
篠田 やはり、お財布を紛失されたお客さまなのですが、お話を伺うとかなりの高額でした。お忘れ物のお問い合わせはJR東海テレフォンセンターだけでなく、24時間対応可能なWebでもお問い合わせいただけるのですが、そちらでまず、複数回お問い合わせいただいている履歴が残っておりました。
このことから、お客さまのおつらい心境を察することができました。お電話いただいた際、「おそらくないとは思うのですが……」とお問い合わせいただいたのですが、結果としては見つけることができ、その旨をお客さまにお伝えしました。
すると、お客さまは冷静なご様子だったのですが、私のほうが「やったー!」というような心境で(笑)。思わず声色も変わってしまいました。
お電話いただけなかったら、もしかしたらお客さまの元にお返しすることができなかったかもしれない事案だったので、私の働きでお助けできたのかな、と思いとてもうれしかったです。
――それはうれしいエピソードですね! ほかにもこのお仕事のやりがいはどんなところでしょうか?
篠田 ご対応中、お客さまの声のトーンが変わる瞬間があります。
やはりお困りになってお電話いただくので、最初は暗いトーンでお話されるのですが、それが徐々に解決につながったり、お忘れ物が見つかったことをお伝えしたりすると、その瞬間にお電話口の声色が変わります。
これを聞くと、「ああ、よかった。私、力になれたんだな」とやりがいを感じます。
――確かにそれは嬉しいですよね。一方でどうしてもお問い合わせの内容によってはつらいこともあるのではないでしょうか。
篠田 列車の遅延時は、こちらとしましても何か解決に向けて動くことができないため、事実関係をお伝えすることしかできず、心苦しく感じています。
さらにこうした際は同じ内容のお電話が続くため、少し大変です。
また、降雪予報が出されている際に寄せられる「明日、列車は走りますか」といったお問い合わせについても、こちらでご案内する運行情報は、基本的にJR東海のホームページなどの情報と同じタイミングで更新されているため、ご納得いただくまでに時間を要することもあります。
お客さまもお困りで焦っていらっしゃるため、どうしてもきつい言葉でのご指摘をいただくこともあります。私もあまりにそれが続くとつらくなってしまうので、そうした際は一度保留にさせていただき、まずご対応を改めてすみやかに検討しつつ、私自身の心を落ち着かせるようにしています。
保留にしている間にお客さまご自身も状況を改めて整理してくださる方も多く、当初はお叱りの言葉をいただいても、最後には「ありがとう」という感謝の言葉で終わることもとても多いです。
――季節によってお問い合わせ内容に違いはあるのでしょうか?
篠田 実はかなりあります。まず、新生活が始まる3・4月は定期券、GW付近は新幹線を初めてご利用になられる方などもいらっしゃり、そうしたご案内が増えてきます。
7・8月もGW同様で、お盆時期の空席お問い合わせ、9月は大学生の方がまだ夏休みということもあり、学生割引のご案内が多いです。
秋は京都の紅葉、そして年末年始は鉄道ご利用のご案内ですね。合間にある閑散期には、ジパング俱楽部(JR各社が展開するシニア向けの会員サービス)をご利用なさる方のご案内が増えます。
職場の雰囲気・仕事の秘訣
――先輩とのエピソードなどはありますか
篠田 常日頃お客さまと向き合う業務のため、「人の気持ちを感じ取り、歩み寄る力」に長けている先輩社員たちばかりです。自身の力不足で、お客さま対応がうまくいかなかった際も、必ずすぐに先輩が気づいて、ねぎらいの言葉やアドバイスをくれます。
応対中に後ろからサポートしてくれることも多く、頼りになる先輩の存在に感謝するとともに「この会社に入ってよかった」と心から感じています。
――この仕事をする上で大事なことはずばり何でしょうか。
篠田 お客さまと真摯に向き合う“まごころ”ですね。JR東海テレフォンセンターに限らず、前任の駅業務のころから、まずお客さまのお話をきちんと正確にお伺いすることがすべての基本となるので、大事です。
もちろん鉄道に関する知識もあるに越したことはないのですが、それは入社後でもたくさん経験を積むことができます。私自身もお客さまと触れ合える“接客”という面に惹かれてこの仕事を選んだので、そうした面が好きな方が向いているかもしれません。
――いま振り返って、「学生時代にやっておけばよかった」と思うことはありますか
篠田 ドーナツショップでの接客しかアルバイトをしてこなかったので、より客層の広いアルバイトにもチャレンジしておけばよかったなと感じています。例えばコンビニなどはより客層が広いので、また違った経験ができたかなと思っています。
――就活で苦労した点はどんなところでしょうか。
篠田 就職活動を始めたころは自分をうまくアピールできず、落ち込んでいました。
そんな時、大学の先輩からのアドバイスで「自分は何ができるか」ではなく、「この会社で何をどう頑張りたいのか」を重点的に面接の場で話すように心がけたところ、熱意が伝わることに加え、自分も前向きに話すことができ、結果、内定にもつながりました。
――就活を頑張る皆さんへメッセージを
篠田 いろんな会社を見られる時期だと思うので、受かるか、受からないかは一度置いておいて、たくさんの会社さんを見るのがいいと思います。
就活はうまくいかない時期が続くと、自己肯定感が下がってきてしまうかもしれませんが、なるべく楽しく就活を続けていくためにも「この会社では自分はなにをしたいのかな」といった具体的なことを想像するのがよいと思います。
――本日はお忙しいところ、ありがとうございました!
終わりに
鉄道就活応援隊の中の人も、学生時代の旅先で列車内に忘れ物をしてJR東海のテレフォンセンターに問い合わせをしたことがあります。とにかく焦っていた私に対し、オペレーターの方はとても丁寧に対応してくれましたし、結果的に忘れ物も見つかりました。
今回のインタビューでも、篠田さんのお話はとても分かりやすかったですし、撮影のために問い合わせのデモンストレーションをさせていただいた際には、実際の問い合わせではないにもかかわらずとても丁寧に応対していただきました。また、マニュアルもお客さまのお困りごとに合わせて様々なパターンが用意されていました。
篠田さんはもちろん、JR東海テレフォンセンター全体として「お客さまの困りごとを解決し、電話してよかったと安心してもらう」、そんな気持ちで臨んでいるように感じられた取材でした。
なお、東海交通事業については、駅係員の飼沼さん、機動係員の加藤さんにも取材をしています! 以下のリンクからご覧ください。
東海交通事業について知りたい方は、下記リンクから情報を確認していただければと思います。
公式ウェブサイト
採用について
採用サイト
業務紹介や社員紹介、人事の方からのメッセージなど豊富な内容が掲載されています。
今回紹介させていただいた会社
株式会社JR東海交通事業
東海エリアの各県でJR東海からの駅業務を受託しているのをはじめ、JR東海テレフォンセンターのスタッフとして案内業務、東海道線の枇杷島と中央線の勝川を結ぶ城北線の旅客鉄道業務、城北線高架下用地の貸付、駅レンタカーの営業などを行い、私たちの日々の暮らしを支えています。
今回はJR東海テレフォンセンターにお邪魔し、取材させていただきました。
より詳しく知りたい方は
>>直近1年間の交通新聞電子版における「東海交通事業」検索結果
から記事をご覧ください! この交通新聞電子版のリンクからは、本来は有料となっている記事も無料で閲覧可能です。ぜひご活用ください。
2023年2月取材
撮影・聞き取り:村上悠太
企画・構成:交通新聞社
※記事中の情報は、この記事を公開した当時のものです。
※採用についてではなく記事の内容についてのお問い合わせは、交通新聞社HPからお願いいたします。掲載されている企業・個人へのお問い合わせはご遠慮ください。