【就活のお悩み】企業が求める人材とは —— 募集要項で見かける「コミュニケーション能力」ってナニ?
募集要項などを見ていると、求める能力に「コミュニケーション能力」とあるのを見かけたことはありませんか?
コミュニケーション能力と言っても、一般的に想像されるものと、企業が求めるものには乖離があるように思えます。そこで、今回は企業が求めるコミュニケーション能力とは何かを考えていきたいと思います。
「人見知りしないから割と話せる」という方も、「話すのが苦手だから……」という方も、ぜひ読んでいただきたいです。
「コミュニケーション能力」と聞くと、どのようなことを想像しますか?
こう聞かれると、「人付き合いがうまい人」「話題に尽きない人」「社交的な人」といったことを挙げる方が多いのではないでしょうか。
一般的なイメージとしては正解かもしれません。しかし、実態は少し異なるように思います。せっかくなので、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
そもそも「コミュニケーション」とは?
今度は「コミュニケーション」と聞いてどのようなことを想像しますか?
おそらく「人付き合い」「会話」などを想像するのではないでしょうか。
それでは、人付き合いのある場面を想像してみてください。きっと、そこでは、お互いが意思をもって、何らかの方法で情報のやりとりをしています。会話も同じで、お互いに言葉や身振り手振りで情報をやり取りしています。
つまり、コミュニケーションとは「相手から発信された情報を受信、理解し、言葉・しぐさ・文字などの手段を用いて相手に返すこと」と言えそうです。
それでは、コミュニケーション能力とは?
上記を踏まえてコミュニケーション能力を考えると、「相手から発信された情報を受信、理解し、言葉・しぐさ・文字などの手段を用いて相手に返すことができる力」と言えるでしょう。
受信⇒理解⇒返信
これに長けている人がいわゆる「コミュ力が高い」人と言われているのだと思います。
長けているというのは様々あると思いますが、
例えば、返信を早くするとか、必ず返信するとか、理解力が高くて的確な言葉で返信するとかでしょうか。
返信までが早いでしたり、必ず返信するといったことは、意識すれば身につけられそうです。つまり、コミュニケーション能力が弱点と思っている人も、今後身につけることができるのではないでしょうか。
就活生が気になる、企業が求める「コミュニケーション能力」とは
ところで、業務に必要な技能や知識は、いつ学ぶと思いますか?
一般的には入社後に学びます。新入社員研修や配属先での研修、OJT*などがそうです。外部講師や上司、先輩などが丁寧に教えてくれることでしょう。
教えてもらった際に、分からないことや疑問に感じたことなどがあったらどうしますか?
「早く一人前になるために、質問して確認したい」とか「失敗したくないから、先輩に確認したい」とか思いませんか?
こういった時に「質問をして積極的に学ぶ行動」ができる人を、コミュニケーション能力がある人と企業はよく表現しているようです。
これに加え、挨拶を交わすことや報連相(報告・連絡・相談)のように、双方向の受発信が適切に行える人を指している場合が多いです。
コミュニケーション能力を鍛えよう
ニガテを克服したいと悩んでいる方もいると思いますので、コミュニケーション能力を身につけるためのトレーニングを紹介したいと思います。
どれも日常生活の中でできることですし、社会人となってからも役立つことなので、今から実践してみてはいかがでしょうか。
トレーニング1 挨拶をする
普段の生活を振り返ってみてください。
友人や知り合いと会った時、教授と会った時、親と会った時など、挨拶をしていますか?
親しい仲ならかしこまった挨拶でなくて良いです。まずは声掛けをする、そして声を掛けられたら返すところから始めてみてはいかがでしょう。
トレーニング2 オウム返しで確認する
これも簡単なトレーニングです。相手が述べた要点を返すだけです。
このように、相手の発信した情報を理解して、要点を相手に返すことは、コミュニケーション能力を身につけるトレーニングとなるだけでなく、大事なことを復唱して忘れにくくする効果もあります。
実際に鉄道のゲンバや工場などでは、安全対策としてコミュニケーションエラーを解消するために復唱することが取り入れられています。
トレーニング3 質問をする
上二つと比べるとハードルが高く感じるかもしれませんが、質問をすることは、下記3点のとおり重要なことです。
トレーニング2の復唱と同じで、質問をすることは、コミュニケーションエラーを解消することにもつながります。
また、欲しい答えを導き出すためには、伝え方が大事です。質問することは、②の論理的に話すトレーニングにもなります。
③の教える側の知識が定着するについては、トレーニングから逸れるので、次の項目でお話しします。
いくつかトレーニング方法を紹介しましたが、他にも方法はあると思うので、自分に合ったやり方で練習してみてください。
質問することは、組織の底上げに役立っている
これは、学習方法別に頭に残りやすいか(学習定着率)を示した「ラーニングピラミッド」という図です。講義形式で学んだ際の学習定着率は5%しかありませんが、質問をすることで生じる、「他者と議論」で50%、「他人に教える」で90%もの学習定着率となります。
ちなみに、「他者と議論」「実践による経験や練習」「他人に教える」ことは、まとめてアクティブラーニングと呼ばれています。また、学習定着率が低いとされている方法も、能動的な行動(復習をする等)をプラスすることで効果を高めることができると言われています。
質問をするという能動的(アクティブ)に学習する姿勢は、自分の疑問点を解決するだけでなく、回答者の知識を固めることにもなり、組織を強くしているとも言えるのです。
そう考えると、質問をすることへのハードルは下がったと感じられるのではないでしょうか。
以前と同じことは聞けない……という方へ
私もそうでしたので、その気持ちはよく分かります。毎回「分からないので教えてください」では気が引けることもあると思うので、そんなときは聞き方を変えてみてはいかがでしょうか。
例えば、「●●のように考えたのですが、これで正しいですか」や「●●と思うのですがどうですか」などのような感じです。自分の考えを述べることで、どこが正しかったのか、またはどこが違っていたのかの確認にもなると思います。
また、以前紹介した「クッション言葉」が役立つかもしれません。
今回は企業が求めるコミュニケーション能力について考えてみました。何となくのニュアンスで伝わっている「コミュニケーション」も突き詰めていくと、実態を理解することができたのではないでしょうか。
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文・企画・構成:交通新聞社
※記事中の情報は、この記事を公開した当時のものです。