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あなたの志望企業に関する見落としはありませんか?――鉄道業界 就活生が気になるプレスリリースまとめ【2022年10月~12月】

鉄道就活応援隊のTwitterでは、鉄道業界各社のプレスリリースから就活生向けの話題をピックアップして、不定期にお届けしています。

プレスリリースを読むのは単なる情報収集だけではなく

・企業がどういった考えで施策を打っているのか
・自分の目指すことと、その企業の考えに重なるところがあるか

といったことを探るのにも有効です。

今回の記事では、そんなプレスリリースについてのツイートから2022年10月~12月の3ヶ月間をピックアップ。140字の制限があるTwitterでは伝えきれなかった事象や、その後の進展なども加えながらお届けします。

なお日付はプレスリリースの発表日ではなく、鉄道就活応援隊でツイートした日ベースですのでご注意ください。それではどうぞ!

10月

10月3日 JR東海・JR西日本の採用内定者数発表

2023年度採用内定者数についてのプレスリリースです。
日本の企業は内定式が10月1日に集中するので、10月上旬に内定者数を発表する企業が多いです。
募集人員はナビサイトにも記載があるのでプレスリリースを細かに追う必要は比較的薄いですが、前年との比較は意識しておくと良いでしょう。

10月6日 西武鉄道とJR東日本の技術協力

新宿~川越間などではライバル関係にあるともいえる西武鉄道とJR東日本ですが、鉄道技術分野での協力を強化しています。
今回の特集で取りあげた期間では、これ以外にも鉄道業界内外での技術協力のプレスリリースがこれ以外にも目立ちました。

10月18日 JR西日本×ダスキンウオッシュの実証実験

通勤の拠点である駅の特性を活かした、ユニークかつ有意義な実証実験であると感じました。
2022年12月15日現在では特設サイトの存在も確認できていますので、実証実験は継続中のようです。

10月20日 東武鉄道 鉄道駅バリアフリー料金制度の活用を発表

「鉄道駅バリアフリー料金制度」とは、鉄道事業者にいくつかの条件を課しながら、

鉄道事業者が利用者から収受した料金を、ホームドアやエレベーターなどのバリアフリー設備の整備(設置、改良、更新、維持管理等)に充てられる

鉄道:バリアフリー関連事業 - 国土交通省

制度、つまり鉄道の車両や施設のバリアフリー化推進費用を利用者に転嫁するための運賃・料金改定を認めた制度です。
2021年12月に創設された同制度は、2022年4月にJR東日本が利用を届け出たのを皮切りに、各事業者から届け出が相次ぎました。

上記のツイートで取りあげた東武鉄道の後にも、相模鉄道JR東海が届け出を行っています。

【就活生の目線】
鉄道のバリアフリー化については、鉄道就活応援隊でも取り上げています。以下の記事をご覧になれば、バリアフリー化の歴史的な進展や、鉄道事業者だけではない、様々な当事者が存在していることが分かります。
ぜひご覧ください。

10月25日 JR九州 西九州新幹線開業1ヶ月間の利用状況を発表

開業後1ヶ月、まずは順調な滑り出しを見せた西九州新幹線の利用者数に関するプレスリリースでした。

なお、12月23日には開業後3ヶ月の利用状況も発表されました。2018年の同曜日比較でも武雄温泉~長崎間の利用状況は105%ということで、開業直後のブームが終わった後も堅調に推移しています。

西九州新幹線によって博多~長崎間においては速達化が実現された一方、開業前の在来線特急「かもめ」時代と比べると乗り換えが必要になってしまったほか、中距離の都市間輸送においてはバスという手強いライバルがいます。

博多から長崎まで新幹線で繋がる具体的な見通しは立っておらず、部分開業の効果を見極めるにも数年単位の時間が必要そうです。

10月31日 JR東日本 2023年3月期第2四半期決算短信を発表

四半期決算短信については、鉄道就活応援隊でも取り上げています。

【就活生の目線】
みなさんからすると、事業や企業の将来性は大いに気になるところ
だと思います。それを探る上で大きな手掛かりになるのは、決算書です!

鉄道業界各社の決算書を読み解く上で必要な知識の解説や、JR東海や京王電鉄など実際の企業の四半期決算短信を解説しています。

要チェックです!

11月

11月7日 JR東日本 はこビュンの新展開を発表

ユニークな施策を次々と打ち出しているJR東日本の荷物輸送サービス「はこビュン」ですが、地域や新幹線・在来線の別を問わず様々な物品を運ぶようになっています。

【就活生の目線】
貨客混載は地方創生やSDGsといった社会課題の解決とも関わり
があるため、要チェックと言えます。
具体的な事例も交えた詳しい解説はこちらから。

11月10日 JR東日本 QRコードを使用した新たな乗車サービスを発表

JR東日本が、QRコードを利用した乗車券の導入を発表したプレスリリースです。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

当面はSuicaや従来のきっぷ(磁気券)を完全に置き換えるものではなく、インターネットサービス「えきねっと」を通じて乗車する際の、新たな選択肢としての位置づけのようです。

【就活生の目線】
プレスリリースを読むと、QR乗車券を読み取るための端末が、従来の改札機と似た形状の新型改札機に設置されている写真があることからも、改札機や券売機が今すぐに駅から消えるわけではないようです。

それらの機械(駅務機器と呼びます)の製造やメンテナンスを担う企業への就職を考えている方からすると、直ちに悲観する必要はないでしょう。

11月11日 JR西日本 来春開業のうめきた地下駅に導入するトイレのDX化施策を発表

【就活生の目線】
利用者にとって便利なだけではなく、消耗品の補充や清掃のタイミングといったトイレの管理者を支援するシステムになっているのが注目すべきポイントです。

たとえば、インターンのケーススタディで「業務の効率化を実現するための施策は?」というテーマが設定された際のヒントになるでしょう。

11月11日  JR四国 特急列車を利用した果物輸送の実証実験を発表

愛媛と言えばみかん、という方も多いのではないでしょうか。
そんなみかんを含めた果物を特急列車で運ぼうという貨客混載に関するプレスリリースです。

11月21日 JR東海 鉄道駅バリアフリー料金制度の活用を発表

JRでは3社目となる活用の発表でした。

【就活生の目線】
2022年12月26日現在、鉄道駅バリアフリー料金制度の届出状況は以下の通りです。もちろん、この制度を利用していないからといってバリアフリー対応が立ち遅れているわけではないので、個別の企業の取り組みは企業のWebサイトを見てみましょう。
また、可能なら実際にその鉄道会社の路線を利用すると、バリアフリーへの対応状況以外にもいろいろなことが見えてきます。

11月25日 スルッとKANSAI協議会 QRコードを活用したデジタル乗車券の開発に着手

関西では、大阪メトロが2020年に券売機でのQRコード決済を導入したほか、阪神電鉄が2020年にQRコードを利用した乗車券に関する実証実験を行うなど、QRコードを導入する動きが会社ごとにありました。

今回は、関西の交通事業者が多数加盟するスルッとKANSAI協議会がQR乗車券の開発に着手したことで、関西において広い範囲で導入されることが期待されます。今後に注目です。

11月28日 JR西日本 新サービス「+PLACE」を発表

【就活生の目線】
駅という人流の拠点を持つのは鉄道の強み
であり、コロナ禍でリモートワークが普及した後は、その強みを活かした施策としてコワーキングスペースやシェアオフィスの提供に取り組む動きが目立っています。

JR東日本の「STATION WORK」や東武鉄道の「ソライロプラスワーク」など具体的な事例も交えた説明はこちらからどうぞ!

12月

12月5日 東京メトロ 無線式列車制御システムの走行試験を開始・12月16日 東京メトロと JR 東日本が、 無線式列車制御システムの導入推進に向けた協力の推進を発表

【就活生の目線】
無線式列車制御システムについては、JR東日本がATACSと呼ばれるシステムを複数の線区で導入済みです。
従来の鉄道信号保安システムの前提であった「閉塞」という考えを塗り替えるシステムであり、また速度制御の多くをシステムが担うものです。つまり今後も「運転士が特別な仕事ではなくなる」という傾向は徐々に進むと思われます。

12月13日 南海グループ 「Visaのタッチ決済による交通利用」と「QRコードを用いたデジタルきっぷの発売」のサービス継続を発表

さきほど取りあげたスルッとKANSAI協議会にも加盟している、南海グループのプレスリリースです。国内ではまだ珍しい、Visaのタッチ決済を鉄道で導入したのが特徴です。

12月15日 JR九州エンジニアリング 新幹線車両のパンタグラフに使用されるスリ板の整備にロボットを導入

こちらはプレスリリースがなかったので、交通新聞電子版の記事へのリンクを載せています。

【就活生の目線】
ロボットの導入は車両メンテナンスだけではなく保線など様々な場面で見られるようになってきています。鉄道事業者や、そのインフラをメンテナンスする企業を進路に考えている方には要注目のテーマです。

12月27日 JR東日本 オフピーク定期券のサービス開始を発表

【就活生の目線】
オフピーク通勤の導入目的は混雑の平準化であり、その先にあるコスト削減です。
朝の混雑時間帯は日中に比べて多くの車両を必要とするほか、駅に混雑整理の人員を配備するなど、鉄道会社にとって多くの物的・人的なリソースが要求され負担となっているためです。
一方、時間帯により定期運賃が変わるのは前例のない取り組みであり、企業側の対応次第で効果のほどは大きく変わりうるため、4月以降の導入状況には要注目です。

終わりに・就活生のあなたがプレスリリースを読む意味

Twitterの更新スケジュールの都合で、紹介したかったものの拾えていないプレスリリースもあります。
それでもこうして3か月を振り返ると、なかなかの数ですね。

もちろん、すべてのプレスリリースを隅々まで読む必要はありません。一方で、

・どういった考えで施策を打っているのか
・自分の目指すことと、その企業の考えに重なるところがあるか

といったことを判断する材料として、プレスリリースは貴重な情報源です。

今後、学生の皆さんはインターンや本選考に向けて業界や企業の情報収集を加速させることと思いますが、ぜひ鉄道就活応援隊のTwitter、そしてこの記事がお役に立てば幸いです。

参考になったと思っていただけたら、ぜひ記事の「スキ」とnoteアカウントの「フォロー」をお願いします!

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※2022年12月27日 「JR東日本 オフピーク定期券のサービス開始を発表」を追加しました。

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