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「責任ある大きな仕事ができるというのが、魅力的でした」街の玄関を、人々の日常を形作る設計の仕事【社員インタビュー:小田急エンジニアリング・駅建物の設計】

鉄道に関わるお仕事に携わっている方へインタビューを通じて、その仕事についてのお話を伺う「鉄道ゲンバ最前線!」。

第13回となる今回も、株式会社小田急エンジニアリングにお邪魔しました。今回お話を伺ったのは駅建物や構内の構造物などの鉄道施設の建築設計を担う、設計・コンサルティング部課長 山口織江さんです。

山口さんは設計の専門的な知識や技術を持ち、家庭との両立も実現。山口さんの仕事への姿勢と職場の雰囲気や環境に、学生の皆さんが自分の未来像を描く指針になるはずです。

 それではどうぞ!


自己紹介と入社のきっかけ

――本日はよろしくお願いいたします。さっそくですが、自己紹介と入社のきっかけをお聞かせください。

山口 よろしくお願いいたします。株式会社小田急エンジニアリング 設計・コンサルティング部 課長 山口織江(やまぐちおりえ)と申します。

本社の会議室でインタビューに応じてくれた山口さん

家族が建築関係の仕事をしているわけでもなかったので、子供のころは今のような職に就くことになるとは思ってもみなかったですね。高校3年で進路を決める時になり、担任の先生から建築関係の勉強はどうかと進められたことがきっかけでした。

自分でも新聞広告などで建物の間取りを見るのが好きだったこともあり、先生の勧めに乗って建築系の学科に進学したんです。

――担任の先生は山口さんの素質を見抜いていたんですね!

山口 そうかもしれませんね(笑) 大学では建築意匠を、大学院に進んでからは環境心理学を専攻しました。いま振り返ると、学業は結構ハードでしたね。課題も多くて大変でしたが、だからこそ「学んだことを活かしたい」と思い、仕事も建築系を志すようになりました。

――建築関係の職を志すようになったのは大学生の頃からなんですね。大学院卒業後から小田急エンジニアリングへ入社した経緯も教えてください!

山口 大学院を卒業して最初は住宅政策提案をするようなコンサルティングの会社に入り、その後別の会社で住宅設計専門の仕事をしていました。

ただ、せっかく取得した一級建築士の資格を活かす大きな建物を設計する仕事をしたいという気持ちをずっと持っていたために、転職エージェントに登録しました。いくつか会社の候補があったのですが、最終的に小田急エンジニアリングに転職しました。

――転職を決意した時、特に決め手となったことはなんですか。

山口 責任があり、大きな仕事ができるというのが何よりの魅力でした。駅舎の設計や鉄道施設の設計等、普段多くの人が利用している施設の設計に携われることは大きなやりがいに繋がると感じました。
また建築業界は残業が多いというイメージがある中で、小田急エンジニアリングは残業が少ないですね。私は子育てや家事もやらなくてはならないので、残業は少ない方が良いです。

職場環境が一番良いと感じたのも魅力的で、仕事と家庭の両立をすることへの理解と融通が利く職場環境というのが大きかったです。小田急沿線に住んでいたので、通勤しやすいということもプラス材料でした。

――同じ設計でも異分野からの挑戦ということで、入社した当初はどのような苦労がありましたか?

山口 設計者としての知識と経験を持って小田急エンジニアリングに入社をしたのですが、それは住宅設計の分野であって、駅となると全く違いました。鉄道に関しては素人同然だったので、新たに知識を積み上げていくのは大変でした。

これは知識や経験のある人について行って教えてもらったり、自分でも経験を積んだりすることで克服できました。

設計・コンサルティング部の業務について

――現在の業務はどのようなものですか?

山口 設計・コンサルティング部は土木設計担当と、建築設計担当の2つに分かれています。私は建築設計の担当として、小田急線の駅舎や駅構内施設、高架下施設やそのほかの建物などの設計、提案をします。

施主の要望を聞いた上で、全体的なスケジューリングと目指す方向を見据えつつコーディネートし、各担当箇所の要望や意見を取り入れながらより良いものを設計、作り上げていくというのが主な業務です。

設計と聞くと、こんなデスクワークのイメージも強いですが……

――業務の大変なところは?

山口 設計の仕事というとパソコンに向かうデスクワークが長時間続くイメージかもしれませんが、実は打ち合わせなど調整に回る業務の方が多いです。

例えば駅建物の設計をする場合、まずは施主である小田急電鉄から要望を伺い、コンサルティングをすることから始まります。駅は地域と密接につながっていて規模も大きいので、建物の大きさや形状が条例や規制に抵触していないかどうか、役所で相談もします。

また構造や電気、給水などの各分野に専門の人がいるので、その意見や要望を取りまとめて判断をします。そして設計案ができれば工期の確認や相談など、設計作業以外の業務がとても多くなります。それが大変ですね。

――この仕事をする上で必要な資格やそれを取るための会社の支援はありますか?

山口 業務内容の通り、国家資格の一級建築士は必要です。私が取得した当時は、一級建築士の受験資格は実務経験が2年で、大学院は実務期間と認められているので、私は大学院を卒業してすぐに一級建築士の資格を取りました。

小田急エンジニアリングは、勉強のための受講費用や受験費用を援助してくれるバックアップ体制も整っているので、仕事をしながら一級建築士の資格を取ることも可能です。 

また私は管理建築士という資格も取得しています。
これは一級建築士を束ねる管理者としての資格です。管理建築士の受講費用も会社が援助してくれました。

資格手当:取得した資格に応じて、毎月の給与がアップ!! 画像提供:小田急エンジニアリング

――学生時代から成長したと感じるところは?

山口 学生時代から根性がある自覚はあったのですが、今の仕事の経験と自信が加わってさらに根性が強くなっているかもしれません(笑)

もちろん周りの先輩方に頼ることも多いのですが、「やれる!」と思ってついつい頑張りすぎちゃうんです。でもそのおかげで自分の出来る範囲を着々と積み上げてきて今があります。全力で逃げずに仕事に打ち込める、それが私の成長だと感じます。

仕事のやりがい

――いま感じる仕事の魅力ややりがい、楽しさは何ですか?

山口 駅やその周りの施設というのは多くの人が利用し、目に触れる日常的なものばかりです。その建物や施設のコンサルティングと設計に携われるというのが大きな魅力であり、やりがいですね。「ママはこんな仕事をしているんだよ」と家族にも誇れる仕事です(笑)

楽しさは仕事内容や経験によって変わってきますが、やっぱり担当した施設が完成した時ですね。皆で達成感を味わえるのが何より楽しい時間です。

――特に思い入れのある仕事はありますか?

山口 藤沢駅の設計を担当したことです。この工事は藤沢市と小田急電鉄が「藤沢駅南北自由通路拡張整備及び駅改良工事」の第1期整備の工事施工協定を締結し、2028年3月末の完成を目指して始まりました。

現在の地上にある駅舎から橋上駅舎へ新規で造り直し、南北自由通路を拡張することによって駅利用者の利便性と街の活性化を図るもので、自治体と小田急電鉄が実施する大きなプロジェクトです。
駅舎そのものを造り直すという大きな仕事は機会が少なく、一から携わっているので思い入れもあります。

設計は終わりましたが、現在は「設計図通りに工事が進んでいるかどうか」を確認する業務である工事監理をしています。
現在の藤沢駅を使用しながら徐々に新しい駅へ切り替えるという難しい工事ですが、完成がとても楽しみです!

働き方と部署の雰囲気

――休日と残業について伺いたいのですが。

山口 休日は年127日です。残業は少ないとはいえ、もちろんあります。ただ、忙しい時期でも家庭との両立ができるよう、部署のメンバーが理解し柔軟にサポートしてくれる環境なので助かっています。

管理者となった今は会社にいることよりも現場へ直接行って確認したり、取引先との打ち合わせなどで社外を回ることが多いです。

1日のスケジュール例。日によってかなり異なり、外に出ない日もあるそうです。  

 ――休日の過ごし方やリフレッシュ方法はありますか?

 山口 基本的に土日祝日が休日ですが、子供のお稽古事や家事などでいっぱいいっぱいですね(笑) でも子供のお稽古ごとで会うママ友と他愛のない女子トークをすることがリフレッシュになっています。あとガーデニングや庭の草むしり。無心になってやるのも良いですね。

 ――設計・コンサルティング部の雰囲気はどうですか?

 山口 設計・コンサルティング部は男性の先輩が多いのですが、その先輩方が底抜けに明るいです(笑) そして構造関係に強い方やCADに強い方など、いざという時には頼れる方ばかり。男女問わずウェルカムで働きやすい職場ですね!

後輩社員と相談する様子。オフィスの雰囲気も明るいです。

――設計・コンサルティング部の課長として目指したいことは?

山口 鉄道系列の会社として、施主様のご要望や期待に応え、安全で快適な運行に貢献したいと思います。そのためにもより多くの人材を育てたいと思います。

――新人や若手の教育はどのように行われていますか?

山口 設計・コンサルティング部は人が少ないのですが、新人さんは鉄道施設の設計が未経験ということはよくわかっていますし、少しでも早く仕事を覚えてもらえるよう、1から丁寧に教えてくれる環境です。

私が担当した藤沢駅の設計のような大きな仕事は頻繁にあるものではありませんが、目に見えるような華やかな仕事はより魅力的に感じると思うので、機会があれば経験させてあげたいと思います。

――小田急エンジニアリングに入社して良かったと感じることは何ですか?

山口 頼れる仲間と大きな仕事ができること、そして家庭を大切にする時間が持てることですね。ワークライフバランスが取れやすいということは本当に良かったと感じています。

今後の目標

――住宅設計、そして駅などの鉄道関連施設の設計のキャリアを積んだ今、今後どのように仕事をしていきたいか、目標はありますか?

山口 先ほどもお話したように、駅舎そのものを建て替える工事というのは早々あるものではありません。ただ、待っていてもそういう仕事が来るというわけではないので、今の施設に目を配り、それを元にこちらから提案をして大きなプロジェクトが始まるような仕事をしていきたいですね。

――新人や若手にはどのようなことを期待していますか?

山口 個人的にはユニークな方が良いですね。楽し気な雰囲気ということもそうですが、決まりきったことだけをするのではなく、幅広い視野を持ったいろいろな提案や企画ができるユニーク性のある方が良いかなと思っています。

学生の方へのメッセージ

――最後に、就職活動をしている学生さんへのメッセージをお願いします!

山口 私は大学生の頃に新体操部に所属していました。指導は厳しかったですが、最後までやり抜くことや忍耐力、チームワークを大切にするということが今の仕事にも活きています。アルバイトも多くの人と接して仕事をすることになるので、社会勉強としても良いと思います。

この仕事は構造力学とか難しい物理分野もありますが、挑戦する気持ちさえあれば建築士になれます。

大切なのは先輩の仕事についていく中で、一つでも多く理解し身に付けようという姿勢ですね。多くの人と密にコミュニケーションをとって、チームワークで進めていくという気持ちを育ててください。

そして学生ならではのゆったりとした時間の使い方でいろんなことを積極的に楽しんでください。無駄なことに見えることもそれは人生の大きな糧になります。でも時間にはルーズにならず、期日や時間を守るということを身につけてください。

――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

雰囲気の明るいオフィスでの一枚。 

終わりに

駅は建造物として規模が大きく、またさまざまな人が利用する施設です。快適に利用できる必要があり、また鉄道の安全の一端を担う施設でもあります。
住宅設計から転じた山口さんの言う「駅やその周りの施設というのは多くの人が利用し、目に触れる日常的なものばかり」という言葉は、当たり前の事実でありながらも、駅や鉄道の公共性、重要さについてわかりやすく捉えていると感じました。

小田急線の小田原駅。小田急エンジニアリングは駅舎改修設計・監理を担当しています。 写真提供:小田急エンジニアリング

取材で伺った小田急エンジニアリング本社の最寄り駅、海老名駅の自由通路も、小田急エンジニアリングの設計コンサルティング部のお仕事なのだそうです。
にぎわう駅の様子を眺めながら、山口さんのような設計の方の仕事に思いを馳せてみる編集部なのでした。

今回紹介させていただいた会社

株式会社小田急エンジニアリング
小田急線の安全で快適なモビリティを担う小田急グループの鉄道関連工事会社です。電気事業、軌道事業、車両整備事業、設計・コンサルティング事業の4分野を持ち、豊かな経験によって培われた高い技術力と実績で交通インフラを通して社会に貢献しています。今回も株式会社小田急エンジニアリング本社にお邪魔し、取材させて頂きました。

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2023年9月取材
聞き取り・撮影:助川康史(マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ)
企画・構成:交通新聞社
※記事中の情報は、この記事を公開した当時のものです。
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※2023年11月6日 1day仕事体験の内容を更新しました。


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