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【就活生向け】施工管理とアスリート 二足の草鞋が続く秘訣とは【社員インタビュー:交通建設】

こんにちは、鉄道就活応援隊編集部です。
突然ですが、「鉄道ゲンバ最前線!」と題した新シリーズがはじまります。
その名の通り、鉄道に関わるお仕事に携わってい方へ実際にインタビューをして、その仕事についてのお話を伺う企画です。

今回は、その第一弾として首都圏で鉄道構造物の建設・保守を担う会社、株式会社交通建設にお邪魔して、鉄道土木工事の施工管理ととある競技におけるアスリートとしての生活を両立させている榊原さんに取材しました。
普段は目にする機会が少ない鉄道土木のお仕事の実情や、競技を続けていくための工夫など、気になる内容が盛り沢山となりました。

それではどうぞ!


――本日はお忙しいところありがとうございます、よろしくお願いします! 最初に簡単な自己紹介からお願いします。

 榊原 よろしくお願いします。交通建設千葉支店土木部の榊原佑基と申します。31歳。今年で入社9年目になります。

リニューアルされたばかりの制服を着て、インタビューに応じてくれた榊原さん

エレベーター、エスカレーター、ホームドア

――ありがとうございます。では、お仕事の内容を教えてください。

 榊原 仕事の中身は、所属セクション名通りの「土木」です。学生の皆さんは、「鉄道の土木」と聞いて何を想像するでしょうか。トンネルを掘ったり、鉄橋を架けたりして線路を敷く――鉄道建設の仕事を思い浮かべるかもしれません。

もちろん「鉄道を造る」のも土木の重要な仕事ですが、実際の土木はもっとずっと広範囲です。皆さんが鉄道を利用すると、「最近は駅にエレベーターやエスカレーターが整備されるようになった」とか、「ホームドアのある駅が増えたな」と、感じるでしょう。

一般的な土木のイメージとちょっぴり違うかもしれませんが、これもれっきとした鉄道土木の仕事です。大きなくくりでは、「施設(線路、駅舎など地上側の設備)」の新設や修繕が土木の仕事と考えてもらうと、イメージしやすいかもしれません。

 ――なるほど。基本は現場に出られることが多いのでしょうか。

 榊原 現場に出て施工管理をすることもあれば、設計や見積書の作成といった書類仕事もあります。書類仕事は昼間に事務所で行う作業なので、ずっと現場に出ている、ということはありません。

 ――そうなのですね。施工管理ということは、ご自身で手を動かすというよりは、進捗の管理などが中心になるのでしょうか。

 榊原 そうですね。あとは責任者として、鉄道の工事をするにあたって必要な手続きなどを手配します。これが機械部門になると社員もオペレーターとして保守用車を操作することになりますが、軌道部門や、私の所属する土木部門では監督がメインになります。

 ――その点は同じ会社の中でも部門による違いと言えますね。入社9年目というと、職場でもそろそろ中堅というところでしょうか。

 榊原 いえいえ、まだまだこれからです。入社以来、どんな仕事に携わってきたのか、ざっくりですがお話ししましょう。

1年目に受け持ったのが、線路沿いにある土留壁の修繕です。2年目以降は、駅設備に附帯した様々な設備の工事や、跨線橋の交換工事、ホームの改良工事など幅広く経験を積んできました。

2021年から受け持っているのが、鉄道施設の耐震補強です。2011年3月の東日本大震災――就活生の皆さんは小学校高学年か中学生だったはずですが、地震で鉄道の高架橋が損傷したというニュースを見たことがあるかもしれません。

高架橋の耐震補強は、高架橋の柱に鋼板を巻き付けて地震の揺れを受けても損傷しないようにするという方法で施工します。

高架橋の柱を耐震補強する工事の様子。

耐震補強は、直接には鉄道の防災・減災、そしてもう少し大きな目で見れば、1960~70年代の高度成長期に整備(建設)された鉄道インフラを、的確に維持・更新して次世代に引き継ぐという意味を持ちます。

向き合うのはお客さま

榊原 交通建設は、「鉄道の安全性や快適性を支え、高める」が企業ポリシー。私が携わる土木の仕事も、「鉄道をご利用のお客さまに、日々安全や快適さを感じていただく」ということで、単なるコンクリートや鉄骨が相手ではない。「鉄道施設の先には、ご利用になるお客さまがいらっしゃる」というのは、常に意識する点です。

 ――なるほど。榊原さんがご自分の仕事に誇りや愛着を持っている様子が伝わってきます。お仕事をされている中で、印象に残っている出来事などはありますか?

 榊原 鉄道土木の仕事といえば、就活生の皆さんのご想像通り、終電後の真夜中の作業が多いわけですが、場所によっては、日中時間帯に駅のホームを修繕することもあります。

そんな時、修繕を終えて仮囲いを取り去ると、お客さまが入ってくる。ちょっぴりオーバーな表現かもしれませんが、“自分たちの作品”でお迎えする。自分の仕事が、社会とつながっていることを実感する瞬間ですね。

 ――なるほど。確かにそれは仕事のやりがいを実感する出来事ですよね。交通建設でのお仕事について、もう少しお聞かせ願えますか。

榊原 はい。耐震補強とともに、2015年ごろからは、駅ホームのかさ上げや点状ブロック整備、ホームドア整備の仕事が増えていきました。

駅の機器整備で五輪レガシーに貢献

榊原 ご存じのように(実際はコロナで1年延期になりましたが)、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが迫って、JR東日本は「東京2020大会成功に向けた安全・安心で快適な旅客駅整備」をスローガンに、快適な駅づくりの取り組みを加速させました。

駅にエスカレーター・エレベーターを新設したり、ホームドアを整備して、すべてのお客さまが安全快適に鉄道を利用できるようにする。点状ブロックは既に多くの駅に設置済みですが、最近導入が進んでいるのが「内方線付き点状ブロック」。

点状の突起に加え、ホーム側・線路側を区別できる線状の突起を設けて、視覚障がいのある方のホームからの転落事故を防止する設備です。

設置工事の様子。ホームの内側に向いた部分に線状の突起(内方線)があるのが分かる

私にも目が不自由な親戚が居るので、このような設備がお客さまの役に立っているという感覚がより感じられました。

 オリンピック・パラリンピックに関しては、大会に向け整備された施設や設備が後世に引き継がれる「五輪レガシー(遺産)」と言われました。もちろん、それほどの意識を持って日々の仕事に当たっていたわけではありませんが、今から振り返ると「これも五輪レガシーのひとつだったかも」と実感できます。

前にも申し上げましたが、交通建設は鉄道という最も基本的で重要、多くの方が利用する社会インフラが、社会から求められる必要な役割を果たせるようにする。そうした点からも、自分の仕事は「鉄道会社やお客さまを通じて、社会とつながる仕事、社会に必要とされる仕事だ」ということを改めて実感します。

 ――なるほど、オリンピック・パラリンピックに向けたお仕事にも関わっていたのですね。日常のお仕事についてもう少し聞かせてください。

 榊原 はい。前に申し上げたことでいえば、例えば高架区間の耐震補強とかホームのバリアフリー化といった仕事のほか、ホームや施設(例えば高架橋などです)の補修など、突発的な仕事が入ることもあります。

鉄道土木の仕事は、終電が走り終わった後、始発までの時間帯の作業というイメージを持たれるかもしれませんが、実は日中の工事や作業もあります。

日勤のタイムスケジュール。現場以外に、工事書類の作成なども入る。
夜勤の業務スケジュール例。現場での作業は、終電から始発までの時間となる。

会社はきちんと無理のない勤務ローテーションを組んでくれますし、最初は大変かもしれませんが、慣れれば現場で得られるやりがい、働きがいは、苦労を上回るといえます。

 ――初めての夜勤は苦労されたのではないかと思いますが。

 榊原 そうですね。仮眠に慣れなかったこともありましたし……初めて夜勤の現場に行ったときは、まだ経験も資格もないためにできることが少なかったので少し眠いくらいでした。

 ――経験を積めば慣れるものなのでしょうか。

 榊原 仮眠については、慣れてきてやり方を工夫するようになってからは困らなくなりました。

とはいえ、自分が責任者となってから初めて迎えた夜勤の時は大変でした。自分が段取りを間違えたら工事が始まらないので、準備が不足していないかとか、現場に到着するまでに事故があったらどうしようだとか、過度な心配ばかりしていましたね。

経験や知識をつけて、現場で何に気を付けなくてはいけないかが分かってくると、緊張感もあって眠く感じることはなくなりました。

 ――なるほど、確かに自分が責任ある立場にあると眠いどころではありませんね(笑) ところで鉄道の土木というと、どうしても「ベテランの職人芸」「先輩の背中を見て仕事を覚える」と想像しがちですが。

 榊原 いえいえ、そんなことはないですよ(笑) たしかにベテランの皆さんの知識や技術には日々、感心させられることばかりですが、われわれ若手や中堅がリードする場面も数多く存在します。

ICT化などで業務革新をリード

――土木の現場でも変革が起きているのですね。

 榊原 はい。代表例が、ICT(情報通信技術)です。現在は現場に分厚い資料を持ち込むことなく、資料類や図面を電子データ化してタブレット端末に収録。ペーパーレス化が進みます。

少子化社会のこれからは、従来以上に業務効率化を求められます。ベテランの技術を、ICTなどで次世代型に変換して若手に引き継ぐ。それが、われわれ若手に託された役目という思いがします。

合同説明会で「交通建設」を知る

――それでは、ここから榊原さんの“就活”について、お聞かせいただきたいと思います。「交通建設」という企業は元々ご存じだったのですか。

榊原 いえ、全く。当たり前すぎる話ですが、大学で開かれた合同説明会、いわゆる就活イベントで話を聞き、興味を持ったのが入社のきっかけです。

 ――そこではじめて知ったのですね。

 榊原 はい。大学の土木系専攻といえば、多くの卒業生はゼネコン(建設会社)を志望します。私も建設という切り口で広く会社を探していたのですが、就活イベントの交通建設のブースで話を聞くうち、鉄道系の建設会社はいろいろなことを経験できそう、と思うようになりました。

交通建設は決して大企業ではありませんが、鉄道技術のさまざまな仕事を手掛けていて、自分のやりたい仕事、自分の輝ける仕事が見つかるという思いを抱きました。もう少し具体的なことをいえば、福利厚生が充実しているのも、入社を考えた大きな理由です。

 実際に入社してみると、社員一人ひとりの成長を会社が応援してくれる。鉄道土木の仕事ではさまざまな資格が必要になる場面も多いのですが、どの資格をいつ取るかのアドバイスや勉強会の開催など、さまざまな形でのバックアップがあります。入社して9年になりますが、就活時の選択が間違っていなかったことを改めて実感しています。

新しくなったばかりの研修センター。鉄道保守に関する新入社員向けの研修もここで行われる。

 ――ところで、榊原さんは土木技術者のほかにもう一つ、アスリートとしての顔もお持ちとうかがいましたが。

榊原 大学時代に始めたトライアスロンを今も続けています。お陰さまで国内大会で上位を狙える力が身に付き、世界選手権への出場や入賞を目標に、日々の練習に励んでいます。

――トライアスロンですか!? かなりハードな競技というイメージがあるのですが、目標も高いのですね。

「佐渡国際トライアスロン大会」の表彰台が目標

榊原 今は、今年9月に開かれる新潟県佐渡市で開かれる「佐渡国際トライアスロン大会」での表彰台が目標。会社の理解もあり、毎日の出勤前とか、帰宅後の練習に汗を流しています。大会には先輩や同僚が来てくれるなど、会社を挙げて応援してくれるのも非常にうれしくありがたいことで、仕事の面にも相乗効果が生まれています。

競技中の榊原さん。

――土木部門の社員として働きながら、トライアスロンへの挑戦を続けるのは大変なことだと思いますが。

 榊原 ゴールデンウイークやお盆、年末年始は作業規制となり工事ができないので長期休みになりますし、会社としても取れるときに休みを取ることを推奨しているので、オンオフの切り替えがすごくしやすいです。

それがすべてではないにしても、社会人になった後もトライアスロンというハードな競技を続けられる環境であることも、交通建設で仕事を続けている一因だと思います。

 ――なるほど、ありがとうございます。では最後に、社会人の先輩として、鉄道業界を志望する就活生の皆さんに一言お願いします。

 榊原 感染症対策で会社訪問が制約されるなど、われわれのころになかった苦労があるかとお察しします。

本サイトをご覧の皆さんは鉄道業界を志望、または業界に興味をお持ちかと思います。前にも申し上げましたが、鉄道は社会を支える重要なインフラで、地域経済や観光振興などで社会に必要とされる、人々に喜ばれる、一生を託すのにふさわしい仕事だと思います。

鉄道に携わる仕事といえば、一般には鉄道事業者(鉄道会社)が思い浮かびますが、ほかにグループ企業や協力会社、関係のメーカーなどで鉄道を支える選択肢もあることを意識していただければと思います。

視野を広げれば、自分を必要としてくれる場が必ず見つかることを信じて、悔いのない就活を実践していただければとエールを送らせていただきます。 

終わりに

インタビューを通じて感じたのは、榊原さんが土木部門で働く「榊原社員」とアスリートとして競技に挑む「榊原選手」を両立させながら、そのどちらにもやりがいを感じていることでした。

また、インタビュー中に話してくださった
「鉄道メンテナンスは、身近なものを直したり、より良くする仕事だから、身近な人の役に立つことができるのがいいところ」
という言葉には鉄道メンテナンスにかける思いが詰まっていると感じましたし、時間の使い方を工夫しながら練習を重ね、大会に出場している姿は、同じ社会人としても素直に「かっこいい」と思えるものでした。

そんな榊原さんが関わる鉄道土木、そして交通建設のことについて、より知りたい方は、下記リンクから情報を確認していただければと思います!

交通建設の採用ページはこちら。

鉄道土木についての記事はこちら。

また、鉄道就活応援隊では今後もこの「鉄道ゲンバ最前線!」シリーズほか、鉄道に関わる仕事を目指す方に役立つ様々な情報をお届けします。
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今回紹介させていただいた会社


社名:株式会社 交通建設
設立は昭和25年2月。平成7年10月に現在の商号に変更。従業員数は561名(2022年4月現在)。

JR東日本のパートナー会社として、首都圏を中心に鉄道工事・保守の実績を積み重ねています。
線路の保守・改良を行う軌道部門、今回紹介した榊原さんの所属する土木部門、大型機械を使用して線路の改良・保守・点検などを行う機械部門、それらの部門の業務をあらゆる角度からサポートする総務・企画部門があります。

より詳しく知りたい方は公式サイト・および直近1年間の交通新聞電子版における「交通建設」検索結果から記事をご覧ください!この交通新聞電子版のリンクからは、本来は有料となっている記事も無料で閲覧可能です。ぜひご活用ください。

交通建設の公式サイトはこちらです。

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